胡蝶蘭の花言葉と花色と贈答シーンの関係
胡蝶蘭ほど、大切なお祝いの飾りつけや贈り物として利用される花は、ほかに例がありません。
外観が華やかで美しく、大型で堂々とした風格と高級感があり、生命力が横溢して花持ちが良いという長所が好まれるためです。
もちろん、その通りなのですが、それだけではありません。
贈り主にとっても、贈られた人にとっても、花そのものが持つ象徴的なメッセージに、重要でうれしい想いが込められているからなのです。
胡蝶蘭の花言葉は「幸福が飛んでくる」なのです。
「幸福が飛んでくる」と語られるような縁起の良いものを、贈答したり頂戴したりできるなんて重宝な品物が胡蝶蘭以外にはなかなかありません。お祝い事といえば、何をおいてもまずは胡蝶蘭が選ばれるのは、そこに理由があったのです。
そこで、胡蝶蘭の「花言葉」について、詳しくみていきたいと思います。
蘭の花言葉
蘭の花の花言葉としては、「美しい淑女」、「優雅」の2種類があります。
眼で見たときの文字的にも、耳で聞いたときの音感的にも、蘭という花のイメージにふさわしい、なんとも心地の良い言葉をあてがわれたものです。
大きさや色彩や模様には千変万化の違いがあるものの、その独特で典雅な趣をみせる花形には、すべての蘭に共通して「美しい淑女」と「優雅」に結びつく気位のようなものを、持ち合わせています。
「Orchid」は、ギリシャ語の「Orchis」という言葉に由来すると言われています。
「Orchis」とは睾丸のことですが、蘭の特徴である養分を蓄積して肥大化した地下茎(塊茎)の形を睾丸に見立ててのことだそうです。
蘭は古代ギリシャ時代から生命力あふれる繁栄のシンボルだった、と言われるのとも関係していそうです。
余談ですが、無料ソフトのランチャにも「Orchis」がありますね、あれも同根でしょうか。
ちなみに英語「Orchid」の花言葉は、「beautiful lady(美しい淑女)」、「refinement(優雅)」、「love(愛情)」、「beauty(美)」です。
胡蝶蘭の花言葉
それでは胡蝶蘭の花言葉「幸福が飛んでくる」は、どのような由来があるのでしょうか。
きっと誰もが予感できる通り、蝶が飛ぶ似姿の花の形から、美しい蝶を幸福になぞらえて生み出された理想的な言葉だったのです。
これにより、あらゆる慶事、どのような祝い事、にも適した贈答花が誕生したのです。
会社や家の新築・移転、店舗や事務所の開店・開設、役職や資格の就任・昇進、創立や周年の記念、株式の上場、選挙の当選、各種の叙勲・受賞はじめ、おめでたい出来事や行事の祝福に胡蝶蘭を贈って喜びを表すことが、今や完全に定着しました。
そもそも胡蝶蘭は、学名を「Phalaenopsis aphrodite(ファレノプシス アフロディーテ)」といい、ギリシャ語で「Phalaenopsis」は「蛾のような」という意味であり、「aphrodite」は「美と愛の女神アフロディ―テ」のことですから、元から「蛾のような美しい愛」と名付けられていたわけです。
蛾というと、日本語的にはちょっと抵抗がありますが、フランス語圏やドイツ語圏をはじめとした海外では、蝶と蛾の区別はなく一様に蛾と呼びますので、こうのようになりました。
さて、胡蝶蘭のもう一つの花言葉に「純粋な愛」があります。
つまり、胡蝶蘭の花言葉は「幸福が飛んでくる」と「純粋な愛」の二つがあるのです。
もう、お解りですね、胡蝶蘭の学名は美しい花形から連想され、胡蝶蘭の花言葉二種類は美しい学名から産み落とされた双子であることを
白い胡蝶蘭の花言葉
ホワイト系の胡蝶蘭には、胡蝶蘭全体とは別に花言葉が与えられています。
「清純」、それが白い胡蝶蘭だけに独自に付与された、黄金の響きを持つ花言葉です。
白花胡蝶蘭のきっぱりとした抜けるような白さは、純粋無垢な一点のけがれもない「清純」のイメージとまさに符合するものと言えるでしょう。
そのことから、白花の胡蝶蘭は結婚式のとき花嫁の持つウエディングブーケに利用されたり、赤ちゃんが生まれた家庭へのお祝いに利用されたり、新築や入学のお祝いに利用されたりするわけです。
企業の贈り物として選ばれるとき白胡蝶蘭が圧倒的に多いのには、それなりの理由があります。
それは、白という色が欧米のフォーマルな習慣の中で、もっとも公式性が高い、いわば最高ランクのフォーマル色とされていることと無関係ではありません。
パーティーにしても、重い格式のものではホワイトシャツにブラック蝶タイですが、最高格式のものではホワイトシャツにホワイト蝶タイになります。
その結果、公式性を表明することを旨としてホワイト胡蝶蘭が選ばれることになったのです。
余談ですけれど、日本で日ごろワイシャツと呼んでいる名称は、「ホワイトシャツ」が日本人には「ワイシャツ」と聞こえたためで、ちょうど「アメリカン」が「メリケン」と聞こえたのと同じだったのです。
ピンクの胡蝶蘭の花言葉
ピンクの胡蝶蘭にも、胡蝶蘭全体とは別に花言葉が与えられています。
「あなたを愛します」、この情熱的であり、告白的でもある言葉がそれです。
ある意味、実にシンプルで隠し立ても飾り気もなく、真摯な表現として好感がもてます。
個人的に、深い想いをこめて贈ることで、花の美しさとともに贈り主のこころが伝わればこれ以上ない歓びの花になる胡蝶蘭です。
もっとも、華やかさの演出として贈られることもままありますので、ご注意ください。
黄色の胡蝶蘭の花言葉はまだない
黄色の胡蝶蘭の花言葉は、お教えできるものならお教えしたいのですが、まだ存在しないのでそれができません。
同じく、リップや紫色やその他の色の胡蝶蘭にも、現在までのところ花言葉がありません。
花言葉がないのは、象徴する事物があてがわれていないということで寂しくもありますが、その反面考えようによっては特定の意味を押し付けられていないという、ちょっとした幽玄な香り漂う奥深さが残されているともいえるわけです。
その他の蘭の花言葉
カトレア
カトレアの花言葉は、「優美な貴婦人」「成熟した大人の魅力」「魔力」「魅惑的」です。
「Cattleya(カトレア)」という名は、栽培で花を咲かせることに世界で最初に成功した園芸家ウィリアム・カトレー(William Cattley1788~1835英国)から採用されました。
「ランの女王」カトレアの花言葉は、過度で妖艶なほどの華やかな色とその姿に由来します。
デンドロビウム
デンドロビウムの花言葉は、「わがままな美人」です。
「Dendrobium(デンドロビウム)」という名は、樹木に着生して生きるという意味でギリシャ語の「dendron(樹木)」と「bion(生活)」からなる合成語です。
花言葉は、息苦しいくらい無数に密集し、グラデーションをともなう豊かな色彩を見せびらかしているかのように咲くこの花に、ふさわしいといえます。
シンビジウム
シンビジウムの花言葉は、「飾らない心」「素朴」「高貴な美人」「華やかな恋」で、その内容が一枚岩でない、多様性がみられます。
「Cymbidium(シンビジウム)」という名は、唇弁が古代ギリシャの舟の形に似ていることからギリシャ語の「cymbe(舟)」と「eidos(形)」に由来した合成語です。
花言葉は種類豊富なシンビジウムですから、地味めな淡色の花から「飾らない心」と「素朴」が、明るい濃色の花から「高貴な美人」と「華やかな恋」が、生み出されたのでしょう。
オンジウム
オンジウムの花言葉は、「可憐」「一緒に踊って」です。
「Oncidium(オンシジウム)という名は、唇弁に隆起して作られたこぶ状の突起があることからギリシャ語の「onkos(こぶ)」と「eidos(形)」に由来した合成語です。
花言葉のうち「可憐」は、見た目の通り小さな可愛らしい花の形姿からつけられました。
一方もうひとつの「一緒に踊って」とはある意味唐突に思えますが、こちらはこの花の英語圏での愛称である「Dancing lady orchid(踊る淑女蘭)」から派生した花言葉ものです。
アングレカム
アングレカムの花言葉は、「祈り」「いつまでもあなたと一緒」です。
「Angraecum(アングレカム)」という名は、樹木に着生して生きる蘭全般を指す言葉である、マレー語の「angurek(野生蘭)」からつけられました。
花言葉は、二つとも静かで深い真摯さを感じさせるステキなことばをもらった、幸運な蘭です。
じつは英語圏では、その独特な花の形から「Comet orchid(星の蘭)」という愛称でも呼ばれています。
星» 祈り» いつまでもあなたと一緒・・・やはりステキです。
オドントグロッサム
オドントグロッサムの花言葉は、「特別な存在」で、このこと自体が独特で特別な存在です。
「Odontoglossum(オドントグロッサム)」は、唇弁の周辺部に舌を取り巻く歯の形に見える小突起が列をなしている様子から、ギリシャ語の「odon(歯)」と「glossa(舌)」に由来した合成語です。
花言葉は、強烈な印象を与える花色と不可解とも言えそうな斑模様が持ち味の、この花の想定外な個性が呼び寄せたことばと言えそうです。
サギソウ(鷺草)
サギソウの花言葉は、「清純」「繊細」「夢でもあなたを想う」です。
「Pecteilis radiataサギソウ(鷺草)」は、花の大部分が純白で、翼のように細かな切れ込みの入った姿形が、飛翔する白鷺のように見えることから命名されました。
英語でも「White Egret Flower(白鷺花)」「White Egret Orchid(白鷺蘭)」「Egret Flower(鷺花)」「Egret Orchid(鷺蘭)」などと呼ばれることがあります。
花言葉は、言うまでもなく白無垢の色彩と、達人が創作した切り絵のような形姿から、そのまま着想されたものです。
蘭を国花と定めている国
蘭を国の花とする国家は大変多く、いずれも何らかの自生蘭を持つ国々です。
代表的な国と蘭種は、パプアニューギニア(ラン)、インドネシア(ファレノプシス・アマビリス)、フィジー(カトレア)、ケイマン諸島(ワイルドバナナオーキッド)、コロンビア(カトレア・トリアナエ)、ブラジル(カトレア)、ベネズエラ(フロール・デ・マヨ)、コスタリカ(グアリアンセ・スキネリ)などがあげられます。